共通
選択肢でヒロインを選ぶと、それに応じて展開に変化は出てくるものの大まかな流れは同じ。
ルナティック・シンドロームの犯人の東雲を捕まえようと動いていたら当の東雲は殺され、ここから東雲とほぼ同等の脳を持ったアンドロイド(サイトー)が人類を支配しようとする所を主人公・操達が止めようとするというのが大まかな流れ。
まあサイトーの狙いは実際は人類の支配じゃなく、アンドロイドと人間の共存という夢の実現が目的だったらしいけども。
ハッキング勝負からアンドロイド達との戦闘等、電子と軍事を兼ね合わせた小さい戦争状態になっているせいか、操を中心とした登場人物の誰もかれもがチートぞろい。
エルは人間友好側の超ハイスペックアンドロイドとして操達を助けるし、ゆいは微妙に頼りにならない所もあるけど操のハッキングの助けになれるし、調は最早戦闘力化け物だし。刑事二人もめちゃつよだし、操もハッキングの性能ヤバいし。
同じ人間から作られたAIでも東雲から作られたサイトーの電脳と人と共に生きたエルの電脳との差は大きかった。育て方が変われば例えアンドロイドでも思考が変わってしまうのだろう。ただそれでもサイトーも根っこまで悪という事ではなかった気がする。結局は物扱いとしてしか見ていない人間が悪いんだろうなあ。だからあの彩夢は好きになれない。
アンドロイドとの戦いは所々緊張感がない場面(主にゆうひのせい)はあったものの概ね楽しめたりはした。ただヒロイン達の恋愛感情を引き出すために必要な日常パートとはいえ、サイトーとの戦いをいきなり切って文化祭の手伝いという平和すぎる流れは突然すぎて違和感があった。
また大まかな話は終わったが、それでもまだ謎は多く残っており、そこは個別√で解決するのだろうと思われる。
…最後の今までのあらすじみたいな刑事との会話、いるか?
ゆい
ゲーム開始時だと操より凄腕なハッカー。おまけにバーチャルアイドル。
しかし母親に甘えたり、人見知りが激しかったり、すぐ調子に乗ったりするなどかなり子供っぽい性格。強気の時(主に操関連)はとことん進むが、不利になるとすぐパニックになるなど感情の落差も激しい。…最も後半はそういった演技をしたりもしていたが。
アンドロイドのパニックにおいてもエルの事をずっと心配してたり、アイドルであることを利用して避難を呼びかけたりするなど自分に出来ることを精一杯やっていたこともあって結構好きだったりする。
そして過去を知りたがっていたがゆいには過去が殆ど無かった。それもそのはずゆいの正体はクローン。共通√にて度々登場していた泪のクローンである。…正直泪は存在しないものだと思ってたわ。
「自らがクローンでも親からには愛されているのか」というゆいの悩みは、ある意味アンドロイドと同じ「普通の人と異なる」という点で共通していた。最も親は関係なくゆいを愛していたため問題はなかったのだが。
また泪と結やその母親とのわだかまりも解け、しっかりとハッピーエンドに持って行ったのは評価できる。
最後まで明るくちょっとお馬鹿なゆいちゃんで良かった。
H関連は初めての時から淫語を恥ずかしがらずに言ったりと大胆な上、何度目かのHでモニターに映した自分が感じてる表情を観て、恥ずかしがるどころか快感にしている辺り、凄いエロい女の子。
Hはゆいから積極的に迫ってくる感じなので尚更そう感じる。
調
表の顔はシスターだが、実はサイトーと一緒に裏の仕事をする一面もある。
両親を亡くして以降、復讐のためだけに生きてきたせいか最初はかなり凶暴で喧嘩っ早い、軍事用義肢を利用して警察と互角で戦ってきた戦闘民族。というか義肢の力と言ってもそもそものスペックが化け物な気がする…。
作中ではさらに義父も亡くすという片っ端から不幸になっている不憫な部分もあるが、その義父の最期の約束や仲間達のお陰で復讐という楔を切り離すことができた。共通にて明確に変わることができた唯一のヒロイン。
個別では大体の問題が片付いたからか、操と一緒にお墓参りをしたり、思い出の場所で食事をしたりと和やかな雰囲気で進む。
しかし、サイトー達が面倒を見ていたヤンキーたちが武器をきっかけに対立。
…結局人間は愚かだってことじゃねえか…サイトーの言う通りなのでは…?
調も奮闘しており、かつて他人とか関係ないような雰囲気だったのが噓のよう。だが結局止めることが出来ず、まさかのサイトーを復活。世話した人間共に裏切られても最期まで世界平和を望むサイトーの姿勢は素晴らしいと思いつつ、アンドロイドは人間のために動いているという側面も見せられたような気がして何となく不憫な感じた。
最初は暴力的で復讐にしか目がない調が色々な交流や犠牲を経て、ようやく前向きに歩いていけるようになった。ある意味調の成長物語と言える話だった。
エル
感情を持ったアンドロイド。
人間と共に生きていきたい、人間になりたいという夢を持ち、暮らしている。
人もアンドロイドも分け隔てなく接する今作随一の優しさを持ち、また、ほんわかした雰囲気も兼ねそろえた癒し系。しかし若干危うい所も見受けられる。
過去の暴走でアンドロイドに対する扱いが酷かったりするシーンがいくつも見られるが、それでも決して人間との共存を諦めたりしない。ただ思うところがあるのか悲しい表情を見せており、エルがあれだけ頑張ってるのに報われないのはいたたまれない。
それだけにアンドロイドでも関係なく一人の女性として愛する操の存在は大きかったんだろうな。
そしてルナティック・シンドロームや彩夢の目的が色々明らかに。
というか殆ど西條家が原因じゃないか…アンドロイドによって人の暮らしを豊かにするって理想は良いけど、実際は失業者大量のボロボロだし…これ、現代社会の今後を予想して作られている?
阿仁堂の過去は、話自体は共通で出ていたが実際見るとやはり悲惨だな…でもこれお上の人たちも悪いんだよな。家族がいなくなった阿仁堂の事を考えてやれば…。彩夢も母親が自殺し、父親は感情の実験ばかりで恨むのも無理はない。ただ自殺に関してはルナが悪いとはあまり責められないかな…人の言うことを聞くように出来てるし…。
阿仁堂とは戦って何とか説得(ただし瀕死)そして彩夢を説得…かと思いきや東雲復活。…こいついくらなんでも邪悪すぎだよ。調の父親を2回殺したことに歓喜している時点でもう最悪そのもの。
クソサイコパス野郎である意味安心した。
なんか全体的に人間悪い奴多すぎない?(今更)
エル√はクリスマスまでは穏やかに進んでいた話だったが、阿仁堂の裏切りから一気に展開が加速した印象。(まあプレゼント辺りで何となくフラグみたいなの立ってたけども。)
一緒に店をするエルと操の姿は割と好きだっただけに、エルの飛び降りからの機能停止はショック。
ただここからまだ続き(アフター)があるらしいからそこに救いがあるかどうか。
ちなみにHシーンはアンドロイドだからかやたらと説明口調な所が多くて笑った。
状況を細かく伝えてくるし、そこまで丁寧に実況しなくてもいいんじゃない?
To After Story
エル√のアフター。10年後、エルが目覚めるところから。
とは言ってもその後の主要人物のエピローグという感じなため短め。
とりあえずハッピーエンドで良かったけど、10年経ったなら立ち絵を変えたり、一枚絵を用意するなりしてほしかった感。
シナリオ☆2つ
アンドロイドにAIと近未来的な世界観。
今作に出てきた謎は概ね解明されており、人とアンドロイドとの絆という点もエル√にて深く掘り下げられているのも良かった。
タイトルの意味もまさか手紙の最後の文面だったとはな、驚いた。
ただ、主要人物以外の人間が愚かすぎて流石にドン引きしたところも。調√なんて完全に人間のクソみたいな正義感から生まれた戦闘ばかりって感じで胸糞悪いし。
ゆい√は他と比べると一応理はかなってはいるんだけど超常現象の印象が強すぎて違和感。
キャラ☆2つ
ヒロインはエルが本当によい娘。優しすぎてみんなから親しまれるのも分かる。死に際にまで人のためを想って行動するのは普通にできる事じゃない。
サブキャラも中々いいキャラしていた。マスターはなんで立ち絵ないのが不思議なくらい素敵な親父。
主人公の操はとんでもないハッカー関連だととんでもないハイスペックキャラで、たまに厨二になるのがまた面白い。
音楽☆2つ
曲数は5曲。
OPの「トロイメライ」は結構好みな曲。
EDは曲調的に「パズル」エルに良く合う歌詞の「アトリエ」は良かった。
Rシーン☆1.5つ
各4~5シーンでノーマルなHが殆ど。
やはりゆいが一番エロかった。
後、さっきも書いたけどエルのHシーンが実況みたいな感じで笑える。
調のまだ慣れてないような表情も可愛い。
総合74点
テーマとしてはまとまっているのは確かなんだけど、何か盛り上がりが欠けた感じもした。
というか大体「人間が悪い」で片づけられてしまうのも×。
まあでも嫌いな作品ではないかな。