シナリオ☆2.5つ
選択肢はあるがEDが変わる以外は一本道。
犯罪を起こした少年少女が暮らす島に記憶を失った碧依が来島し、色々な事件に巻き込まれながらも日々の生活を送りつつ、記憶を取り戻していくというもの。そしてアサガオとの約束を思い出し、彼女を救う物語でもある。
序盤は事件の推理ばかりで「なんだこれ?探偵ものか?」と錯覚していたが、中盤以降は各キャラの精神的な病を解決しつつ、終盤にはアサガオとの交流にシフトしていった。
場所が場所だけ精神的にヤバい奴ばかりなのだが、それを経営してる奴もヤバいし、担当している教師もヤバいし、登場人物が精神病になったきっかけになった大人達もヤバい。そんなとんでもない施設に碧依がひっかき回して救っている…という感じではあるが、結局思惑の歯車にされていると思うと、やはり子供は大人に利用されるばかりなのか…と少し可哀そうに思える。最後の最後に暴動を起こし、教師や院長の思惑を潰したけど。
しかしこの物語の根本はアサガオとの約束にある。アサガオとの約束のために記憶を取り戻し、最後はその約束をどうするか…というのでEDが変わる。
アサガオが碧依を「刺す」かそれとも「刺さないか」で。
刺さなかった場合は碧依がアサガオの病が治ることを祈って島から出る。
刺した場合はアサガオの病は治るが、碧依死亡(そこらへんは不透明だがおそらく)
……っておい、どっちもビターエンドじゃねえか。
特に刺した場合は「どうせ結局生きてるんだろ?」と思っていただけに割と衝撃が大きい。しかも子供の名前に「あおい」ってつけるなんて…。
しかも悲しい表情を見せてない辺りこいるやっぱやべーわと再認識した。
という感じで今作にハッピーエンドはない。
ハッピーエンドが欲しかった俺としてはうーん…と唸るしかできない。
しかしそれまでの静かに狂っている世界観の読み物としては中々面白かった。小説を読んでいるような感じがして。
…うん面白い、間違いなく。最後にしこりが残るような感じがするけど。
あと気になったのは挿入歌のタイミングかな。なんであそこで流れたのかがわからない。…体験版の範囲?
キャラ☆2つ
アサガオ
今作のメインヒロイン。タナトフィリアで人の死を好む人物。それを見るためなら笑顔で人に危害を加えることもできる。
普段は言葉足らずな所もあるが静かで、花が好きな子供みたいな性格だけにその危険さが際立っている。
自らで人を殺したことはないが、だからこそその精神病が治らなかったのかもしれない。(現に碧依がきっかけで快方してるし。)
ただ両親の事が大好きで両親もアサガオの事が好きな辺り、精神病されなければ普通の女の子として生きていけたのかもしれない。
小鳥
麻薬常習犯の不良っぽい少女。
ただ実際は自分から進んで薬に手を出したわけではなく、半ば脅しのようなもので薬を始めてしまったある意味被害者。
狂っているキャラが多い中、数少ないまともなキャラで、碧依に対して一番寄り添っていた人物でもある。
自己中心的な先生に見捨てられても、周りに暴力を振るわれても教師になる夢を捨てなかった。本来は強い娘なんだろう。…運が悪かったんだろうな。
みこ
おっとりとした優しい院長の娘。スポーツも中々でバスケは特に優秀。
…とはたから見ると優等生なのだが、実際は気に入った物や人は、どんな手を使ってでも自分の物にしようとする上、自分の手を汚さず他人をコントロールして危険な行為を行う今作の中でもかなりヤバいキャラ。
碧依の特別な人になるために暴力すら行うヤンデレみたいな感じになっていた。
最終的に父親と対峙するほど精神的に成長するのだが、それまでが怖かったせいかあまり好きになれない。
碧依
今作の主人公。
施設内に蔓延る問題やヒロイン達の病の原因を解決させており、家庭環境が酷く両親から暴力を振るわれていたが、そんな状況でも自分が無罪になれるよう計画的に両親を殺している等とんでもないキレ者。
記憶を失っている時はドライだったが、物語が進むにつれて人との付き合い方も変わってきてたりしてた。
みんなの救いになってる辺り好人物にも見えるが、最後はアサガオへの依存っぷりを考えると、彼も十分ネジが外れている。
その他
収容所に入っている子供達は病のせいかまともな考えを持っていない。
とにかく暴力的で、なにか危害があればすぐ暴力に走る。集団リンチも平然に行おうとする他レイ プまでしようとする奴までいる等。…そんな奴らが普通に外に出歩いてていいのかよ…矯正できてないぞ。まあ特にヤバい危険人物は外出すら許されない所にいるんだけど…。
そして大人達もエゴイストばかりで、特に夜葉は自分の実験のために子供を利用するクソ野郎。…まあ立ち絵があったから怪しいとは思ってたけど。
院長も周りの目を気にしているせいで子供を洗脳して利用しているし、こういうやつらばかり。
音楽☆2つ
OPの「アイを識らない」は本編から比べるとちょっと明るめかなあと。
悪くはないんだけど。
そしてEDの「虹色の愛」は正に碧依とアサガオの歌。
静かでなんとなく悲しい。今作で一番好きな良曲。
Rシーン☆2つ
各ヒロインに4~5シーン。
Hシーンの最中にも碧依の思考が入ってきたり、当の碧依の顔がのっぺらぼうだったりと少々減点な所もあり。ヒロインも説明口調な感じの所も気になった。
それ以外は隠語も伏字無しの非常に濃厚なHシーンの数々でエロさが十分にあった。…こういうゲームだから無理やり系があったら嫌だなと思ってたけどそういうシーンがなくで良かった。
総合84点
歪な恋愛を書ききった良作。
ハッピーエンド主義の人には合わない作品なこと以外は中々良作だと思う。