シナリオ☆2.5つ
前半は彩香町での色々な出来事の物語、後半は蒼空とシロバナの物語という構成。
特に前半は非常に良く出来たシナリオ。
蒼空が保健室の先生になった所から様々な人物が現れるが、その誰もが何か過去を背負っている。
そんな彼らを蒼空やシロバナ、そして魂人達が助けようとするその温かさが非常に良かった。瑞海の病気が魂人達の存在のせいと知ったら自ら成仏していったシーンは先が読めていてもかなり涙腺にきた。一度は死んだからこそ、魂人達はそういう自己犠牲が出来るのかもしれない。
今作ではそういったケースが非常に多い。七菜を前に進ませるために、そして弟・蒼空の未来のために花を咲かせるゆかのケースもそう。
ちなみに姉=ゆかというのは正直あからさますぎてたから絶対違うと思ってた…。普通にシロバナが姉かと。
ただ、登場人物の過去語りが短い所があるのは少し残念。
又、深い恨みがあるとはいえ成仏させようとしていた夏秋冬や、危うく犠牲者を出すところだった学園長は僅かながら不快な点もあった。
…というか学園長割とヘタレっぽい所あるよね…。まあ自らの夢を叶えるためというのもあったから仕方ないのだけど。
ここに至るまでの話が最高。
後半はシロバナと蒼空の過去、そして別れ。
一番の驚きは蒼空は転生した女性・蒼という存在だったこと。
名前も家族構成も性別も違うからてっきり魂人なのかなあ…でも同じ送り人の山代気づいてなかったよなあ…と思っていたら予想外だったよ。
シロバナとの別れは蒼空が過去を思い出し、彩香町を出てからあっさり成仏していたのだが、これは駄目だと思う。余韻もないし早すぎる。これ話の尺足りてないんじゃ…。そしてこんなあっさり転生するって…。学園長が報われないな…。
全体の駄目な点として設定をどんどん継ぎ接ぎしている所。
当初は死んで後悔が残ったら魂人になるという感じだったのに、魂人は低確率だが妊娠し子供が出来るという第二人類のような感じになっていたり、魂人にならずに転生したりする者もいたりとどんどん増えていく。これではせっかくの話が分かりづらくなってしまう。そこが本当に惜しい。
ただ本当によくできている話なのは確か。瑞海の病気を治すまでは本当に素晴らしいシナリオだった。
キャラ☆2.5つ
殆どの登場人物が温かい。最初は敵かと思った山代ですら凄く好感が持てた程。
ヒロインのシロバナは姿が完全に幼女でありながらも姉であろうとする。そして口の悪いあまのじゃく。
ただ行動は子供っぽい。シャボン玉攻撃が凄い可愛らしい。
蒼空の事第一に考えており、蒼空に何かあると本気で怒る辺り本当に大好きなのだろう。
そして転生前の蒼の事も好き。魂レベルの愛情とは…これはかなわないな。
サブキャラなら天真爛漫なムードメーカーでやたらとボディタッチが多い鈴、魂人からは蚊帳の外でありながら蒼空の事を支え続けた先羽、最初は駄目駄目なのにゆかとの別れを通じて成長しようとするある意味主人公のような七菜と魅力あるキャラが多い。
ただそれ以外にも面白いキャラは多いのだが、何故立ち絵がないのか…。
そこは本当に残念。