以下感想
ネタバレあり注意
GLOVETYの新作。
どうやら処女作らしい。そしてライターも有名どころ。
…正直新島夕というライターのゲームは殆どやったことないけど、ライター自身の評判が良い感じらしいから期待。
唯々菜
√開幕から「身近な人に忘れられる」という普通にオカルトレベルの悩みがスタート。
ここからどうやってサイエンス系に持っていくんだと最初は思った。
何を考えているか分からない以外は普通すぎる女の子。
普通に吹奏楽が好きだし、普通にラーメンが好きだし…。ただ、その普通が唯々菜にとって凄く貴重な物だとは想像できなかった。後、たまにでる心の声の疑問形が中々に可愛い。
周太しか唯々菜を認識できないという非常に危うい状況の割には、割と楽しくやれているのが何とも危機感がないなと。ただ周太の行動が少々非常識ながらも唯々菜のため(あと自分の知的好奇心のために)だという事が明確に分かるからとても頼もしくは感じた。
後半においてテレパシーの能力によることが判明。
テレパシー能力って伝えるだけじゃないんだな…と勉強になりました。
ただごく普通の少女がコントロール不可のテレパシーを持ってしまい、クラスメートも家族からも疎遠にされてしまった。そりゃあ精神がおかしくなるのも仕方ないし、普通の日常に憧れたくもなる。
そして孤独という気持ちが唯一分かる周太。
唯々菜のために命を張ってまであらゆる手を尽くしている姿は、共通√で散々上から目線で蔑んでいた彼から比べ物にならないくらい格好良かった。…本気の恋は人をも変えるということか。最初はただの好奇心からだったのにな。
ただこの√だけでは分からないことが多い。
彗星機関やら鯨やら、特に後半の周太の能力は理解できなかった。
この点は他の√…あるいは何かしらのトゥルー等で分かるのだろう。
忍
ちょっとお節介で年上らしい優しいお姉さん。
おっぱいでかい。素晴らしい。ただ性格は子供。それが後々大変なことに…。
前半は店の立て直しから忍への告白といった所。周太の自信過剰な所が完全にマイナスになってしまう。
あれこれ偉そうに言っていても、世間から子供のままごとという現実を突きつけられる所は今までさんざ天狗になっていた周太へのお灸にもなったという感じ。その結果少し大人になったと言えるだろう。現に忍に子供が出来た時は相当勉強してたし。
忍も忍でまだ親に頼り、周太に頼りと子供っぽい所が抜けてなかった気もする。頭が良いとはいえ素人の意見を真に受けてるのだから。結局のところガキだったのだろう。 …しかしあれだけ厳しいと言われていた父親があっさり許すのはなあ…てか全然厳しくないじゃん。店に大ダメージ与えた張本人だっていうのに。
後半は子供が出来、ようやく人並みの幸せを掴もうとしたらまさかの機関に拉致。
流石に人生ハードモードすぎない?この場面は流石に周太に同情したし、凄く辛くなった。せっかく両親にも認めてもらえそうな感じがしたのに。
ただロミが最後になんとかしてくれた。本当良い女だよロミは。約束を何年かけても守ってくれるなんてさ。
…後、あの司令官が本当に唯々菜か。
難点だったのは周太と忍が再開した所でもう少しどうなったのかその先を見たかった。
どうもこれだけだと曖昧な感じがしてモヤモヤする。
後、忍結構エロい。
というか裸エプロンも正装姿もヤバくないか?
佳純
ボクシングギャル。結構サバサバしていて明るい性格。
今作で最も青春しているであろう√。
途中や終盤で周太に対する暗い場面があったもののそれ以外は殆どボクシング。
周太、佳純、片桐の3人で力を合わせてライバルに勝つという王道的な展開。ただそれ以上に3人で夏休みを楽しく凄く姿がとても眩しく思えた。そして周太が自ら彗星病を打ち明けた唯一のヒロイン。(ロミ以外で)
ただ当然ながら終盤の記憶を失った周太の姿を見た佳純の悲しさがとても辛い。約束を守ることができなかったというが本当に。
そして彗星機関というクソ組織はよ潰れろ。後あの叔父胡散すぎるんだよなあ…。
まあ涙を流す理由すら答えられなかった周太がもう一度1歩ずつ歩き出そうとしている辺りまだ希望は持てるのかな。
佳純自身は結構ツッコミは激しいしやたらと食う悪い言い方をすると大雑把だけど、とにかく素直で真っすぐな所が良かった。あれだけひた隠しにした作戦をちゃんと信じる辺りは周太への信頼もあったかと思うけど凄いと思う。
…MAINになんか追加されてる…「OPEN THE DOOR」?……ああ、これでようやくロミ√いけるのか。
ロミ
ちびっこ天才少女。周太の幼馴染。
周太の彗星病を独自の解釈で治そうとするくらい優秀。実際それで延命できてるから凄い。
そして恐竜好きをいう変わった一面もあったり。…恐竜着ぐるみパジャマとか可愛い過ぎるでしょ。そして意外と抜けてる所がまた愛らしい。
これで朝起きたら「アポロ…アポロ…」言い出すからね。たまらないよね。
どの√も周太の事を支えてくれるまさに相棒のような存在で他の誰よりも頼もしい。実際周太と一緒に住んでた時は安心感が半端なかった。
…殺されかけた時にロミを置いて逃げた周太は少しは同情するけど、幻滅した。
その後の行動で幾らかは帳消しになったけど。
√自体は唯々菜&佳純の所々を摘まんで合わせた話が序盤、小笠原諸島での旅行&決着が後半となる。
序盤は唯々菜の存在の消失の問題を考えながらも合宿して、花火見たり、バーベキューしたりと凄い青春を送っている。なんだかんだで周太も凄い楽しそうで良かった。唯々菜が消えるところは結構切ない感じもした。
小笠原諸島での旅行も楽しそうなんだけど、つかの間の休息という感じもして何とも言えない気持ちにもなる。
そしてようやく彗星機関の狙いや鯨関連が明らかに。…まあ他√で大体は分かってたんだけど。
ただどうして周太が選ばれたのか、ロミは何が目的なのかが知らないまま終わってしまった。
…周太消滅という最悪な結末だが…。最後の手紙に周太のボイスがあるのがなんともニクい演出だなあと。
…と思いきやGRAND√あるのか…。これが恐らく最後だろう。
GRAND
今作のトゥルーであり、ロミ√の続き。周太とロミの過去や全ての謎も明らかとなる。
過去編は周太とロミの短い夏の冒険。
父親を助けるために子供二人だけで電車を乗り継ぎ、船に乗って親戚に助けを求めるなんてどれだけ父親が好きだったのかが良く分かる。冒険自体は短かったけど、とても眩しくそれだけにあの最期は衝撃的すぎた。
後半はアインシュタインと同化した周太の魂とロミが全ての決着をつける展開。
いきなり戦闘描写が多くなり少し驚いた。
周太ともう一人の周太という構図が少し複雑だった感じもするし、周太の肉体の管理もかなり雑すぎる流れだったように思える。
ただ、星とのやり取りの中で周太の性格が変わったという描写に関してもちゃんと理由付けされていたのは分かりやすかった。それに感化されるように今まで敵対していた星やメシアもどんどん仲間になるとかそれ少年漫画か何かか?
真理どんなのかちょっと見たかったわ。(世界崩壊するけど)
しかしそれ以外の展開はとても好み。アインシュタインとロミがヘリに乗り込むシーンは今まで周太が頑張りが認められたような感じがして泣きかけた。
そしてやはり最後の最後まで周太を愛し続けた父親が本当にグッとくる。タイトルの「アインシュタインより愛を込めて」っていうのはそういうことだったのかと。

ここのシーン結構好き。
最後のロミが周太の前から消えるのは出来れば止めてほしかった。こんなの見せられたら鬱になるから。ただそれだけ心に残る終わりになったしまったために全て否定することはできない。
ミコとの最終決戦が曖昧で正直良く分からなかったのがマイナス。あとあの叔父やっぱ敵じゃないかそれ以外は非常に良かった。
シナリオ☆3つ
個別√では散らばっている情報も、最終的に一つに纏まっていく展開は非常心地よい。
その個別√も短かったが、逆に言えばそれだけ無駄な所を削除し、つまらない話を続けなかったので個人的にありだった。
話の内容も一転二転する展開にハマってしまい、止め時が分からなくなるほど夢中になった程素晴らしかった。
描写不足もあり分かりづらい所もあったにはあった。
そして、エロゲや恋愛という点においては×。
まあそもそも今作は周太の物語という点が強いわけだし、個別も後半は周太中心だったし。
ただそれを差し引いても凄い面白かった。…久々に1日中やってしまったよ…。
キャラ☆2.5つ
とにかく今作は主人公・周太が滅茶苦茶目立つ。まあ今作は周太の物語なわけだし。
最初こそなんだこいつっていうレベルの高飛車上から目線野郎だったけど、過去の出来事や周太の置かれている現状を感じると段々そういう悪い感じには思えなくなっていた。悪く言えばガキなのだが、最終的には正義馬鹿になっていたのも驚き。…説教も大分多かったけど。
ヒロインは外見は圧倒的忍。あのエロいボディは反則です。性格は流されやすい感じもあるけども…。
ただロミが圧倒的メインヒロインなんだよなあ…。
どれだけ周太の事を助けたのか…。ただなんで最後どっか行っちゃったんだよ…。
音楽☆2.5つ
新世界αもOPムービーのフェードアウトが若干気になったけど凄く良い曲。GRAND EDで男性ボーカルになっていたのは驚いたけど、あれもあれで良い感じがした。
セカンドOPの「Answer」も好き。流石Duca。
Rシーン☆0.5つ
各ヒロイン1~3シーン。テキスト短いし、差分少ないし、ロミは1シーンだけ等トンデモ仕様。
エロゲという点に関して完全に駄目な理由の一つ。このご時世で良くこの少ない数で出せたな…。
原画は非常に良いだけに凄く残念に思える。…まあ話の展開的に仕方ないと言えば仕方ないのだが。
総合94点
新島夕のゲームは「魔女こいにっき」くらいしかやっておらず、どうせ余計なオチをかますだろうなあ…と思っていただけにこれほどのゲームを出すとは…侮っていました。
この心に残る何とも言えない読後感を感じさせてくれるとは……凄いわこのライター。
今年TOPクラスのゲーム。
本当に面白かったです。
- 2020/11/01(日) 20:20:33|
- エロゲ感想2020年
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